2023年11月12日(日)
横手市増田重要伝統的建造物群保存地区選定10周年記念シンポジウムで司会を務めました
10周年おめでとうございます。
重要伝統的建造物群保存地区は、文化財保護法により『周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で我が国にとってその価値が特に高い』と定義されています。
横手市増田重要伝統的建造物群保存地区選定は平成25年(2013年)12月27日。
翌年2月に開催した選定記念シンポジウムに、私は横手かまくらFMの取材で伺いました。
地域住民、地域の団体、行政が一体となって魅力的な町並みにしようと保存、活用に取り組んでいる姿を見ておりましたので、感激で胸がいっぱいです。
基調講演は、学校法人工学院大学 理事長 後藤 治 教授が「重伝建地区を元気に持続していくために」と題してお話しになりました。後藤教授は、増田地区で2010年から実施した「伝統的建造物群保存対策調査 」より携わっていらっしゃいます。講演は、他の地区の事例を交えながら重伝建地区を元気に維持していくたくさんのヒントがいっぱいでした。会場いっぱいの参加者は、頷き、笑い、メモを取り聴き入っていました。皆さま講演をお聞きして、また気持ちを新たにした様子でした。
※写真は、後藤教授(真ん中)、横手市議会総務文教常任委員 加藤勝義 議員です。
加藤議員は、写真集『増田の蔵』撮影編集を担当なさいました。
基調講演の後、高橋美貴子 文化振興課長より経過報告がありました。電線の地中化はじめ観光客の入込数など増田の町並みの魅力が増したことがよくわかる内容です。
その後、10年の歩みの報告が行われました。
最初は、増田まちなみ保存会 阿部 仁 顧問のご報告です。
行政との連携や、発足から5年で全国大会の開催地になったこと、防災マニュアルの整備や訓練、視察、記録に残すかわら版の発行など多岐にわたる活動をご報告くださいました。
この日にあわせて制作・展示したポスターやかわら版を多くの方がご覧になっており、コーディネーターの渡邉さんも事業のつど“記録”し、会員むけに情報を発行していることについて絶賛していました。
つぎに、技術者集団、増田まちなみ研究会 鈴石 博実 会長のご報告です。
ヘリテージマネージャー養成講座、黒漆喰磨き他様々な講習会、相談会を実施していること、ビフォー、アフターの写真とともにこの10年で行った修理・修景をご報告くださいました。
快適に、美しく。
ソフト面、ハード面とこの10年磨かれてきたのですね。
そして、パネルディスカッションは
「増田の町並み これまで、これから。」というテーマで
重伝建地区で生活している皆さまや重伝建地区に関わってくださる皆さまがステージへ。
コーディネーターは、横手市伝統的建造物群保存審議会委員で元長野県塩尻市文化財課長 の渡邊 泰さん。
パネリストは
増田まちなみ保存会会長の 佐藤又六 さん
羽場 こうじ茶屋くらを 女将の鈴木百合子さん
文化庁文化財第二課 主任文化財調査官 の 梅津章子 さん
髙橋 大 横手市長 です。
女将さんの「私は本当にいいところに生まれた。」という言葉が素敵でした。
ご自身が地元増田へ戻ってきたときの気持ち、重伝建に選定されたときの想い、その後の取り組みについてや、佐藤又六さんや中七日町通りの皆さんの日々の暮らしぶりに感銘を受けていることなどをお話しくださいました。
近所のかたも遠方からいらした方も来てくれたかた皆さんに「食事」という体験を提供しているのだそうです。
そこに住む人たちが、そこに誇りをもって、地域を愛して、大切にして、自ら考え行動していることの素晴らしさを改めて感じました。
佐藤又六会長は発足から会長を務められ、町並みの保存にご尽力されていらっしゃいます。この日がなんと85歳のお誕生日でした。みんなで拍手をしてお祝いをしました。蔵の日を前に中学生ボランティアが勉強に訪れるなどさまざまな世代が一緒になって盛り上げています。
増田の蔵の発見は写真集『増田の蔵』の発行がきっかけでムーブメントが起きたともいえます。それまではお隣り同士も他の家の蔵は見たことか無く、素晴らしい蔵がこんなにたくさん揃っている事に気がつかなかったのです。とお話し下さいました。
見事な建造物を見るだけではなく、住んでいる皆さんのお顔と個性が輝き、人に魅了されて、また会いにいきたくなる町「増田」。10周年という節目の大切さを、来場の皆様へ伝えられるように心を込めて司会進行いたしました。良い機会を頂き、ありがとうございました。